果たして瑠璃色? ‐ルリボシカミキリ飼育後記
名前についている瑠璃だが、これは色の名前であることは誰もが知っているはず。その瑠璃色とは右のような色である。これは印刷物やネット上の色見本として決められている。さて、この色だが、ルリボシカミキリのどこに使われているのだろうか。全くもって疑問である。身体全体は、この藍色に近い青ではなく、水色だ。水色ではうまく表現しないというなら、「スカイブルー」「ターコイズブルー」等など。日本語ならば「浅葱色」か「秘色(ひそく)」あたりか。どちらにしてもパステル調のカラーだ。瑠璃色のような濃い色ではない。ルリボシカミキリは英語では、“Blue Longhorn Beetle with Black Spots”黒いドットのある青いカミキリムシである。この名前には納得できる。
辞書では瑠璃色は「紫みを帯びた鮮やかな青」と説明している。しかし、この瑠璃に問題がある。瑠璃とは、元々は宝石の名前。“ラピスラズリ”が訛って“瑠璃”になったらしい。“ラピスラズリ”は仏教の七宝の一つで、確かに深い青であり、瑠璃色に近い。色としての瑠璃だが、語源の通り、この宝石を指す言葉だった。それが、色を指すようになり、後に青色系のガラスを瑠璃と言うようになる。現在では美しい青を瑠璃と表現するようになった。昆虫界にも瑠璃色の種はあるのだが、ルリがついている昆虫は不思議とルリボシカミキリの青に近い。ルリシジミやルリボシヤンマなどがそうだ。異色はルリクワガタ。ちょっと瑠璃と使うのには無理があるような。まあ、綺麗ではあるので、いいのかもしれないが。とにかく青系の美しい色を持っていれば瑠璃なのだ。
日本を代表するオオムラサキは、その名の通りムラサキ系。強いて言えばアオムラサキ。これも瑠璃色の資格はある。それに対し、世界一美しい昆虫であるモルフォ蝶。瑠璃を使うが最も相応しく思えるのはわたしだけではないはず。