世界に誇る究極の美 ルリボシカミキリ-6

世界に誇る究極の美 ルリボシカミキリ-6

果たして瑠璃色? ‐ルリボシカミキリ飼育後記

 名前についている瑠璃だが、これは色の名前であることは誰もが知っているはず。その瑠璃色とは右のような色である。これは印刷物やネット上の色見本として決められている。さて、この色だが、ルリボシカミキリのどこに使われているのだろうか。全くもって疑問である。身体全体は、この藍色に近い青ではなく、水色だ。水色ではうまく表現しないというなら、「スカイブルー」「ターコイズブルー」等など。日本語ならば「浅葱色」か「秘色(ひそく)」あたりか。どちらにしてもパステル調のカラーだ。瑠璃色のような濃い色ではない。ルリボシカミキリは英語では、“Blue Longhorn Beetle with Black Spots”黒いドットのある青いカミキリムシである。この名前には納得できる。

色見本(JIS慣用色)左から「瑠璃色」「スカイブルー」「ターコイズブルー」「浅葱色」
瑠璃星ならばドットの部分が瑠璃色。ルリボシカミキリならば、右のような色合いのはず。ルリボシカミキリを正しく表記するならばクロボシアオカミキリではないのだろうか。


 辞書では瑠璃色は「紫みを帯びた鮮やかな青」と説明している。しかし、この瑠璃に問題がある。瑠璃とは、元々は宝石の名前。“ラピスラズリ”が訛って“瑠璃”になったらしい。“ラピスラズリ”は仏教の七宝の一つで、確かに深い青であり、瑠璃色に近い。色としての瑠璃だが、語源の通り、この宝石を指す言葉だった。それが、色を指すようになり、後に青色系のガラスを瑠璃と言うようになる。現在では美しい青を瑠璃と表現するようになった。昆虫界にも瑠璃色の種はあるのだが、ルリがついている昆虫は不思議とルリボシカミキリの青に近い。ルリシジミやルリボシヤンマなどがそうだ。異色はルリクワガタ。ちょっと瑠璃と使うのには無理があるような。まあ、綺麗ではあるので、いいのかもしれないが。とにかく青系の美しい色を持っていれば瑠璃なのだ。

イラストで申し訳ないけど、本物も鮮やかな日本の国蝶オオムラサキ


 日本を代表するオオムラサキは、その名の通りムラサキ系。強いて言えばアオムラサキ。これも瑠璃色の資格はある。それに対し、世界一美しい昆虫であるモルフォ蝶。瑠璃を使うが最も相応しく思えるのはわたしだけではないはず。

ルリアゲハと呼ばれることが多いが、正式名はアオスジアゲハ。どちたにしても美しい固体に変わりはない。エメラルドグリーンに近い鮮やかな青が印象的。
オオルリという鳥がいる。こちらは確かに瑠璃色。
モルフォ蝶。もちろん本物の生体を見たことはないが、画像、動画でもその美しさには息を呑む。残念ながら日本にはいない。これを出されると悔しいが、その美しさは認めるしかない。

第一話

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