世界に誇る究極の美 第2回 ヤマトタマムシ-2

世界に誇る究極の美 第2回 ヤマトタマムシ-2

エノキを知る

 いつものことだが、闇雲に探して見つかることなどない。だからと言って、どこどこに棲息しているなどという情報はない。もしあったとしても、情報を知ったときには、乱獲された後だろう。周辺事情を集めて、それをヒントに探すしかないのだ。これが大変である。
 このタマムシも、ほかの甲虫同様に偏食である。昔からタマムシはサクラの木に飛んでくる、とよく耳にした。しかし、サクラの木にいるタマムシなど見たことがない。まあ、タマムシ自体を見たことがないのだが。サクラの葉も食べないことはないのだが、特に好きなのはエノキである。
 エノキ?。よく耳にするけど、そんな木は知らないという人が多いのでは。もちろんキノコのエノキではない。漢字で書くと“榎”。榎本さんなどの苗字があるので、見たことはある方も多いはず。しかし、木のエノキとなると、パッとは浮かばない。実は江戸時代には街道の一里塚として植樹されたりしていたので、見たことがあるはずなのだが、ケヤキ(欅)に似ているのため、メジャーなケヤキと混同していることが多いらしい。そうなると問題は、ケヤキとの違い。これがわかりづらい。ネットなどでよく見かけるエノキとケヤキの違いが、下表である。

エノキとケヤキの見分け方


 殆どは葉の違いが見分けるポイントなのである。葉脈が中心に一本あり左右対称なのがケヤキ。それに対して3脈が顕著で左右非対称なのがエノキ。これはわかりやすい。ということで、まずはエノキ探しだ。近所にある大きな落葉樹はほとんどがケヤキ。もっと違う場所へと遠出すると、エノキらしき木が。じっくりと葉を観察。う~ん、微妙だ。左右非対称であるようにも見えるし、葉元から3脈にも見える。そう、言葉や写真を元に、実物を見てもピンとこないのだ。二種類の木が並んでいることで、初めてその違いを認識できる。しかし、二種類が並んでいて、なおかつ名前が書かれているなどという都合のいい場所など、あるはずがない、と思っていたのだが、世の中には都合のいい場所があるのだ。それは公園ではなく、山中の植樹している区画だった。ご丁寧に、この二種に近いムクノキまで植えられていた。早速見比べると違いは歴然。派も違うのだが幹の樹皮が全く異なる。エノキは解説どおり滑らかで、剥げていない。これが一番分かりやすい。そして葉の形状もやはり違う。ここで3脈の意味がようやく理解できた。いままで悩んでいた木は全てケヤキであったこともわかった。筆者の採集エリアだけかもしれないが、ケヤキに比べてエノキは圧倒的に少ない。

名前がはっきり書かれているとわかりやすいのだが。

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