世界に誇る究極の美 第2回 ヤマトタマムシ-3

世界に誇る究極の美 第2回 ヤマトタマムシ-3

なぜメタリカルなのか

 タマムシが我々を魅了するのは、あの光り輝く色彩だ。どうしてあんなに光沢があるのか。この昆虫フィールドの読者ならば、昆虫の多くがメタリックなのはご存知だろう。それは表皮の構造に原因がある。いわゆる構造色なのだ。構造色というのは、普段私たちが目にしている色素色ではなく、その構造上から発生した色なのである。具体的には表面の反社が干渉して起こる現象だ。一番分かりやすいのDVDの録画面。微妙な光沢な色合いは、DVDに細かい溝があり、そこに反射する光が干渉しているのだ。甲虫で光沢が多いのは、この表皮の構造が原因である。その中でも、特筆したタマムシの輝きは、ほかの甲虫よりも表皮の層が複雑であるからだ。多層構造になれば干渉は複雑になり、色合いも光沢も鮮やかになる。もちろん他の甲虫も多層構造であるが、タマムシの表皮はより複雑なのである。

メタリカルなのは光の干渉。死んでもいつまでも光り輝いているのは構造色だから


 あのメタリカルな輝きは実は大いに役立っている。まず体温上昇の防止。多層構造で複雑な表面なので、放熱効果が高い。そして、天敵の鳥対策。よく木にDVDを吊るしているが、あれは鳥避け。鳥は乱反射するものを怖れる習性がある。あれほど目立つタマムシが生き残ったのも合点がいく。ただ、ペットボトルに水を入れてネコ避けをしている方がいるが、あれは無意味である。ネコは光り輝くものが好きなので、実は逆効果。未だに見ることがあるので笑ってしまう。

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