嫌われるカミキリムシ（天牛）
カミキリムシ（天牛）は害虫だ。害虫駆除の会社にも害虫として堂々と載っている。害虫のカテゴリーは、建材害虫、家具害虫、文化財害虫、不快害虫など、散々の呼ばれようだ。オオムラサキが国蝶として持て囃されているのに、日本を代表するほどの鮮やかな外見の甲虫が嫌われてしまうのは仕方ないことなのか。
確かにルリボシカミキリの成虫の餌は植物の花粉・樹液・果実など。シロスジカミキリのように生木を食べることはない。しかし、問題は幼虫にある。その幼虫の卵を産むのは成虫だ。結局、どんなに綺麗な色彩でも「衣食住」の“住”に甚大な被害を与えることになるので、紛うことなき“害虫”なのだ。
幼虫はクヌギ、イチジクなどの生木を食べるため害虫とされている
建築専門誌に掲載されているレポートでは、完全に悪役だ。もちろん、幼虫ではあるのだが、被害が発覚するのは孵化による。成虫が木造住宅の柱や梁から次々に成虫（あの美しい）が這い出てくることでルリボシカミキリの被害を受けていることがわるのだ。回収したルリボシカミキリの写真を見ると、不謹慎ながら羨ましくなってしまう。原因は野ざらしにされた木材を使用すること。つまり貯木所に置かれた木材でルリボシカミキリを採集することは被害防止にもなるのだ。ルリボシカミキリに限らずカミキリの幼虫は何年も木材の中に潜んでいるらしい。輸入家具からカミキリが突然這い出てきたという報告もあるのだから、確かに厄介な害虫だ。成虫脱出孔と呼ぶらしいが、大きな穴が空いていたのでは売り物にはならない。しかし、成虫になっても樹皮を主食とするシロスジカミキリはもっと厄介な存在として忌み嫌われている。
