世界に誇る究極の美 第2回 ヤマトタマムシ-4

世界に誇る究極の美 第2回 ヤマトタマムシ-4

群がるタマムシ

 まずはエノキのある公園、それも山間に近い自然公園をネットで探し、さっそく調査へ。タマムシが必ずと言っていいほど見られるエノキを発見。しかし、そんな木が本当にあるのだろうか。記事は7年も前のものだったので、あまり期待はできない。生まれてこの方、生きた野生のタマムシは2度しか見ていない。どちらも偶然だった。必ず見られる木などあるものなのだろうか。
 ネットで明記されていると、多くのファンが集まり、乱獲してしまう心配もある。通常は具体的な場所など記載しないのだが、そのホームページはタマムシネタはおまけ程度だったので、そんなルールなど気にしていないようだ。まあ、それで実際に見られるのならばありがたい。それに、うまくすれば捕獲もできるかもしれない。甘い期待に胸を膨らませ、クルマを走らせた。

その木は断崖絶壁の風光明媚な場所にあった


 その木は確かにあった。そして、なんとタマムシらしき光り輝く小さな物体が舞っているではないか。目を凝らすと、やはりタマムシで間違いない。
 エノキの周りを飛んでいる、舞っている。虹色に輝く虫たち。まるで死骸に集るハエのようだ。適切な表現ではないが、それほど多くの個体が絶えず飛び回っているのだ。結構離れている距離でもその虹色の輝きは見てとれる。その様も美しい。感動モノ。しばらく見とれてしまった。こんな場所があるとは奇跡だ。

写真でわかるだろうか。確かに翔んでいるのだ


 早速、採集。とはならない。なぜなら、その木のある場所は断崖絶壁の手前で、エノキの前には立ち入り禁止の柵が。その程度ならば無理してでも捕虫網を駆使するのだが、柵がある理由は、そこが観光ポイントだからだ。絶景を満悦できるビューポイントには大勢の人がいる。さすがに多くの人の前で、柵を乗り越え、タマムシ採集に勤しむヒトはいない。みなカメラを構えているが、被写体は景色であり、都会で飛び交うことのない猛禽類だ。自然を愛する彼らがいるのに傍若無人の態度をとることなど、さすがにできない。捕獲は諦めてタマムシを観賞することに。
 結構な数がエノキの周辺を舞っている。エノキの葉にとまると、存在が葉の輝きにまぎれる。あの光沢色はカモフラージュなのだろうか。
 ただ、遠いのだ。エノキは背が高く、葉が茂っているのは、かなり高い場所だ。たとえ柵を越えたとしても、あの場所に飛び交うタマムシをどのように採集すればいいのか、見当もつかない。クワガタやカブトのように手で採ろうなどとは、考えが甘過ぎる。結構な長さの捕虫網がなければ、採集などできないだろう。また、お金が掛かってしまう。昆虫採集も安くはない。

肉眼ではこんな風に見える。結構な数が翔び交っているのだ

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