世界に誇る究極の美 第2回 ヤマトタマムシ-7

世界に誇る究極の美 第2回 ヤマトタマムシ-7

短命タマムシの延命策

 例え1匹でも自分の手で採集したことに変わりはない。会長さんの好意でさらに1匹もらい、いよいよ問題の飼育へと。かつて1度捕まえたときは3日だった。とにかくタマムシの長期飼育は超難関なのだ。エノキの木を植えられるほど大きなケージの中で自由に飼育するならば、きっと天寿を全うさせることも可能だが、一般市民にはそれを望めるはずもない。かと言って、1週間も飼育できれば上出来では、あまりにも情けない。今井さんはプラスチックのケースでも半月以上は飼育できるとは言っていた。なんとか半月まで生きながらえることは可能なのだろうか。

飼育しているタマムシは皆元気


 秘策はあった。それは民宿の飼育ケースに隠されていた。いや、隠されてなどいない。一目瞭然である。あの大量に詰め込まれたケヤキの葉だ。タマムシの飼育で最大のネックとなるのが餌だ。エノキの葉、もしくはケヤキの葉を食するのだが、これが簡単には食べてくれない。パイプの中に葉を詰めて、反対側からタマムシを入れ、葉で蓋をして食べるしかない状態にして飼育しているという兵(つわもの)もいるが、手間の割には確実性が低いとしか思えない。そんな乱暴な給餌方法に繊細なタマムシが耐えられるはずがない。ストレスで餓死するのがオチだ。その給餌方法を解決するのが、民宿の飼育ケースだ。身動きの取れないほどケヤキの葉が詰め込まれている。それが給餌の秘策である。

名人の飼育方法を真似てケヤキを敷き詰める


 早速、2匹のタマムシの入ったケースにケヤキの葉を詰め込む。タマムシは葉に潜り込むのではなく、ケースの壁面に張り付いたまま移動する。葉を食べているのか確認できない。まあ、直ぐに食べ始めるとは思っていなかったが、1~3日ほどで死んでしまうので、心配ではある。
 ただ、この方法は手間が掛かる。とにかくケヤキの葉は2日も経てば萎れてしまうのだ。なので、朝近所の公園にケヤキの葉を取りに行かなければならないのだ。それでも葉を入れ替えるときに見れる生きたタマムシの美しさに見とれてしまう。さらに葉に食べ痕を発見。これは期待が持てる。一日置きに、早起きして公園へと足繁く通うことに。しかし、捕獲して4日目に1匹が落ちているのを確認。今まででは最長記録だったが、やはりショック。半月を目指していたのだが。何が悪かったのか。1日置きの掃除がストレスを与えたのか。しかし、葉はこまめに変えないと、萎れてしまう。ジレンマ。残り1匹となったが解決策など浮かばない。それでも日課をこなす姿は、おじさんながら健気である。

2 日も過ぎると、ケヤキの葉は萎びてしまう 。この準備が一苦労


 そんなこんなで、残る1匹は12日後に☆となる。今までを考えたら長かったのではあるが、半月には至らなかった。やはりケヤキの葉があまり新鮮ではなかったのか。毎日、いや1日に2回は換える必要があったのか。それとも暑かったのか。

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