変身ダコの飼育顛末-終章

変身ダコの飼育顛末-終章

悲しい結末

 朝、起床して一番に水槽の電気を点けに行ったときに、水槽台の木製の脚部分に得体の知れない物体が貼り付いていた。直ぐにそれがゼブラダコだとわかった。
「えー! ショック!」
 直ぐに足を見てみたが、シマジロウだった。 いわゆる通常のタコ(マダコ、テナガダコ)と違い、水棲のタコ(ほとんど大気中に出ることのない)は、脱走などありえないと思っていたのに…。見事に水槽台の脚(木製)に貼りついており、漁村で見掛ける特産の干物か、エイリアンの抜け殻(中間体・フェイスハガー)のようだった。途中で千切れている足もあり、水分がなくなることを避けるために必死に水槽台を上っていたのだろうか。可哀想なことをしてしまった。飼育始めてから6ヶ月強。長かったのか短かったのか。原因は、やはり混泳なのだろうか。これまでシマジロウはパイプを上って、メイン水槽に脱出したこともある。それにいつも岩陰に隠れていた。それほどシマコは怖かったのか。結局、♂♀は判らずじまいだ。その乾燥したシマジロウを水槽に戻してみたが、やはり反応無し。そのとき、直に手で触ってしまったので、掌は暫くかぶれたように痒かゆかった。それが最後の抗議だったのか。残ったシマコ(と言ってもいまさら雌雄は判らないが)は、悠々と自分だけの水槽を謳歌している。

一匹になると淋しいのだろうか


 しかし、一週間ほどたってからシマコの遺体も机の下で発見。家族に見つからなくて良かった。シマジロウと全く同じような状態だった。水棲の軟体動物でここまで来るには、かなりの労力が必要だったろう。途中で千切れた脚も貼り付いていた。結局、原因は混泳にあるのではなく、環境だったということか。
このような意識で生物を飼う資格など到底ない。反省しきりだが、シマジロウが最初に棲んでいた水槽には、予定のタツノオトシゴではなく、クラゲ―それもタコクラゲ(またタコかい!)が生活している。しかし、これが全く癒しにならない。

サブタンクではタコクラゲを飼育

第一話

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