快適オケラ生活 第3話

快適オケラ生活 第3話

モグラコオロギ、どこにいる

 話は変わるが、オケラは英語でmole criket(モールクリケット)と呼ばれている。モールはモグラ、クリケットはコオロギ。モグラコオロギ。日本語の由来と比べ、かなり安直な名付けだが好感が持てる。このモグラとオケラなど、全く関係ないのに身体的特徴が似通った姿に進化することを「収斂進化(しゅうれんしんか)」という。節足動物のオケラと脊椎動物のモグラの足が、土を掘るという目的のために外見的に似た形になるのは、進化の不思議の代表例らしい。どちらも個人的には好きな生物であるという共通点はあるが。他には、ジャコウアゲハの幼虫とシカクナマコの子供が挙げられていたが、こちらは想像もつかないし、モグラとオケラほどの機能はないらしい。ということは、この「収斂進化」オケラとモグラのためだけにあるのだろうか。これは素晴らしい。

腹部はコオロギと同じ

 相変わらず前置きが長くなってしまった。
 とにかく、まずは採集だ。でも、先にも述べたように滅多やたらに探しても見つからない。意外なところで、ふと捕まえることはあるが、勢い込んでも捕獲できないのが、この昆虫の特徴。まずは情報収集からはじめなければ。 以前のゲンゴロウ採集と異なり、現代はインターネットのおかげで情報が溢れている。どのような場所に生息しているかは簡単に情報取得できる。利用しない手はない。ネットで探してみると虫のオケラの情報は少ない。ほとんどが、金欠のオケラ情報だ。それでも時間を掛けて探せば、少しは情報を入手できる。どんな場所に生息しているかは、結構紹介しているので助かる。

きっと、こんな場所にもいるが、どう探していいのかわからないのが現状

 一番多いのが田んぼの水路、畦など。次に河川敷や土手など水の傍。他にも湿った土があれば、結構な確率で生息している。そして、身近―住宅街の傍らでも発見が可能だ。夏などは、自動販売機の明かりに誘われ飛んでくることも間々目撃されている。そう、どこにでもいるのだ。ただ、残念ながら具体的な場所(住所・地域)はどこにも書き込んでいない。これでは、情報がないに等しい。紳士協定か、暗黙の了解か。ネットマナーが叫ばれるが、この辺はマナーのよさが窺える。「いそうな場所」を探しても、必ず見つかるものではない。発見は偶然によるものか、もしくは生息場所を毎日探索しなければならない。それは農業にでも従事しているか、毎日河川敷で土を掘り起こしているような小学生でしか不可能―小学生の頃、1回しか捕獲していないことを考えると小学生でも難しい。サラリーマンからすれば、毎週の土日曜探しても見つける可能性は極端に低い。偶然に頼るのでは、昆虫採集にはならない。

どうしても、この姿をもう一度見たい

 最初は毎週探索に出かけてでも、捕獲を目指そうかと思ったが、それは春を迎えると同時に萎えてきてしまう。闇雲に探しても見つからないような想いが強くなってきたのだ。どうすればいいのか、考えていたところ(本当はその時間も惜しんで採集に努めればいいのだが)、「まずは購入してみよう」という安易な考えに及んだ。もちろん、「採集」「飼育」が最大の目標で、最終的には「繁殖」であることに変わりはないのだが。最悪、「採集」ができない場合を考慮して、「飼育」だけでも確保すべきではないかという考えが頭に浮かんでいた。それに「飼育」しながらでも、「採集」はできる。勝手ながら、新たなる夢が膨らんでくる。まず、実物と会うことからはじめようと、結論付けてネットでショップ探しを始めました。

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