快適オケラ生活 第4話

快適オケラ生活 第4話

僕らはみんな生きている

 早速、オケラの販売サイトの検索。オケラなんて売っているのだろうか、と不安があったものの、一件の日本産昆虫を販売しているサイトを見つけた。主に日本産の水生昆虫(タガメやゲンゴロウ)を累代飼育し、育成した昆虫を小分けしているという個人ショップだった。そのサイトでオケラの販売はしていないのだが、Googleで検索するとオケラ販売のキャッシュが残っていたのだ。早速、連絡をしてみると、基本採集ではなく累代飼育をして、繁殖したものを販売しているため、需要のないオケラの販売は止めているとのこと。しつこく、問い合わせたところ、季節になったら採集に出かけるので、確保できたら連絡します。という確約を得た。その日まで待っていればいいのだが、やはり待っているだけでは物足りない。再度、ショップの人に自分でも採集できないかを聞いてみると、親切にも教えてくれた。

オケラの販売ショップは見つからなかった

オケラは、年間を通して、土を掘り起こせば採集可能ですが、
生息している場所を特定するのが難しいです。
田んぼ脇の土手などの泥土の場所で、産卵した場所を特定できれば、
かなりの密度で生息してるのですが、ピンポイントで探すのは
なかなか厳しいです。

「う~ん」状況変わらず。でも、一度見つければ、その場所にいる確率はかなり高い。まずは思い切った行動に出てみよう。そう、田んぼの持ち主、農家の協力を得ようではないか。とは考えたものの、近所に農家の知り合いなどいない。まずは水田に足を運び、様子を見がてら、知り合いになろう。

3月の水田に緑はない。生命も感じない。
この景色から昆虫採集の意欲は湧かない。

 まだ3月に入ったばかりの田んぼには水はもちろん引かれていない。水分もまったくないので、土は乾いており、畦がなければ畑という印象だ。側溝には溢れんばかりの水流があったが、これが5月頃になれば一気に田に満たされるのは爽快な風景だろうなぁ、などと想いを馳せてしまう。実家は農家ではないが、情景が懐かしいのは何故だろう。と感慨深く歩いていたが、人がまったくいないではないか。時期外れなのだろうが、一人ぐらいいないものかと暫く畦を歩いていたが、現れる気配もなかった。折角だから採集に挑戦しようと、畦や盛り土された乾田、水の乾いた水路を丹念に探ってみたが、何から手をつけていいかも分からない状況では、カエルも見つけられない。
 結局、その後、近所の田んぼに行くことはなかった。それは、実家の兄から有力な情報が入ったからだった。1年前、山の麓にある側溝で卵を抱えたオケラを見たということ。これは、有力な情報だ。特に卵を抱えているという点が重要だった。

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