快適オケラ生活 第9話

快適オケラ生活 第9話

たった一匹からの飼育はじめ

 水苔と園芸土やチップを重ねて作り上げた飼育環境にいよいよ収穫したオケラを入れるため、一晩ほったらかした捕獲ケースの泥の塊の調査を始める。直ぐに一匹めを見つける。相変わらず、泥に濡れることもなく、その露わな姿を見ると、感心してしまう。続けて、もう一匹。しかし、あの泥を弾く清潔な躯体が出てこない。逆に泥の中に埋もれたまま動く物体が。よく見るとヤゴではないか。ヤゴなど捕まえていないが、泥にまぎれて持ってきてしまったのだろうと、とりあえず別のケースに入れておく。それより、もう一匹のオケラだ。泥を丁寧に広げ、水で流し、念入りに探したものの、結局、あの雄姿は現れない。原因不明だ。まさか、ヤゴと間違えたのでは。いや、そんなことはないはず。もしかしたら、共食いか、それともヤゴに餌にされたのか。死骸があるかと思い、一時間以上丹念に探したが、見つからない。採集の苦労が頭に過ぎり、落胆するものの、一匹の飼育で諦めることに。一晩ほったらかしたことが悔やまれる。とにかく、一匹は確保したのだから、飼育を始めよう。逆に一匹しかいないのだから、直ぐに落とすわけにはいかない。
ちなみにヤゴは近所の沼に放しました。池のない我が家での飼育は無理でしょ。

この一匹から飼育開始

 飼育ケースの表面には水苔が敷き詰められている。そこに生物の存在は全く確認できない。下から覗くものの、やはり動きはなし。それでも飼育は開始されている。餌の準備をしなければ。
 オケラは雑食性なので、植物と肉を適度に合わせて与えなければならない。本当は動物性食物は小さな虫やミミズを与えるのがベストだが、その手間はもちろんだが、家族の同意を得るのは不可能に近い。また植物性としては、草を植えておくのがいいのだが、水分の多い土壌では根腐れしてしまう。そこで、本に書いてあったように、野菜の根の部分、そしてニボシは生肉などを与えることに。まずニンジンを千切りにして差し込み、ニボシを床材の上に転がす。念のため、雑食ということから、動物性の餌も必要。そこで栄養価の高いドッグフードをケースの端の数箇所に埋めてみる。ドッグフードは乾いているが、水苔の水分で数時間で湿ってくるので、食べるのには苦労しないだろう。これで、飼育の準備はお仕舞いである。他にすることはない。ケースを部屋に置いて、観察するだけである。

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