快適オケラ生活 第10話

快適オケラ生活 第10話

おとなの昆虫採集は飼育こそ醍醐味

 翌々日、ケースを確認すると餌が白くなっているではないか。水カビだ。こんなに早く繁殖するとは、暑さのためだろうか。水カビの浸食している水苔ごとゴミ箱に捨て、また改めて餌を投入。これを2日に1回のペースで繰り返す。水カビはかなり不快なので、水苔も大量に廃棄しなければならない。合わせて餌の交換。手間が掛かるわけではないが、達成感がない。飼育して10日過ぎたが、オケラを全く見ていない。
 ケースの蓋を開けて水カビの餌を廃棄。下から覗くも何もなし。この繰り返しに少々飽きてくる。淡々と過ぎる平穏な日々だが、本当にいるのか不安になってくる。まず、餌も食べているのか全く確認できない。穴を掘っている様子も見られない。既に死んでいて、ただ餌を交換しているのでは馬鹿馬鹿しい。
 この手の昆虫の飼育で絶対にしてはいけないのだが、生死を確認したくなる。少し臭いも気になってきたので、床材の取替えという自分への言い訳で、ケースをひっくり返してみることにした。飼育から2週間目の日曜日だ。

湿っているからか、すぐにカビが生える。


 炎天下の中、まず新しい水苔をバケツの水に浸して準備。ゆっくり、ケースの水苔を取り除き始める。最初は安心して、使い古した水苔を廃棄用のスーパーの袋に移す。半分ほど廃棄すると、段々と不安になってくる。「いるのだろうか?」もし、何も存在していないようだったら、また一からやり直しだ。そんな不安を掻き立てるように、オケラは全く出てこない。一緒に亡骸を捨ててしまったのではないのか、と念入りに廃棄した床材を再確認するものの、形跡なし。不安が現実になるのでは、と思ったとき、掻き出した水苔の塊から元気に飛び出す固体を発見。「生きている」思わず口元が緩む。
 想像以上に元気だ。飛び出したオケラは直ぐに残りの床材(底の方はほとんど園芸土)に潜り込む。その早いこと早いこと。元気な姿を見て一安心。別のケースに入れて、残りの床材を全て廃棄し、用意した水苔と園芸土、チップを重ねて、新たな床を構築。そして、生体を暫く観察してから、その新居に戻した。なんか、大きさがほとんど変わっていないような気がするが、元気なので安心していいだろう。生物飼育ではやってはいけない愚行だったが、自分としては大満足だった。しかし、何を食べて生き延びているのか不思議だ。

オケラの元気な姿に一安心。
確実に成長している。

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