快適オケラ生活 第20話

快適オケラ生活 第20話

越冬前の最後の攻防

 子供か、タマゴか、などと呑気に対応していたダニだが、深刻な事態になってしまった。ケースの床材表面が粉を吹いたようになってしまった。以前も同じような状態ではあったが、入れていたチップがおが屑のように分解したものと思っていた。今回の掃除で確認できたのだが、この粉は大量のダニだ。さすがにここまで広がると、放っておくわけにはいかない。かといって、ダニ対策に一番のバルサンを使えば、オケラも葬ってしまう。この危険生物の一掃は全く浮かばないし、調べても適切な答えは見つからない。ただ、この状態のまま越冬など考えられないので、とりあえず床材の一掃をするしかない。同じようにしても結果は見えているので、少し工夫をしなければ。そこで考えた対策だが、まずダニが残っていると思われる、このケースは諦めることに。また床材に爬虫類用のチップを使用するのはやめることにした。一掃は難しいものの、ダニは樹木系の材質を食物として繁殖するという解説があったので、せめて繁殖だけでも防げると思ったからだ。
 早速、休みの日に床材の交換となった。前回の交換から一週間しか経ってないのは、余りに短いが、結構ダニの繁殖は早く、事態は一刻も争っていた。まず、餌用に差し込んでいたニンジンを抜くと、もうオレンジ色ではなく、濃いベージュというか汚い土色のようになっていた。一面、ダニだ。その蠢く様子は背筋が寒くなるような、気色悪さだ。床材を掘り出すが、チップはもちろん、水苔にもダニが付着しており、オケラ達が無事に生きているのか不安になってくる。なるべく、現状のダニが生息する床材を次の環境に紛れ込まないよう、注意深くゴミ袋に廃棄した。作業を進めていると、そのダニまみれの環境でも元気に走り回るオケラを発見。次々に生体が登場するが、みな想像以上に元気だ。ダニの床材の上も走り回っている。このダニは生体には寄生しないことにホッとする。そして、全ての床材を廃棄すると、新たな環境づくりに移る。

エサのニンジンも一面にダニが。

 まずケースの変更。長男が小学生のときに使用していたケースを物置で発見したので、新しいケースは買わずに済んだ。ケースに小学生時の直筆の名前とクラスが書かれている。ひらがなで書かれた文字は何とも愛らしく、今からは想像できない。本人は「恐ろしくへたくそ」と評価していた。そのケースでの新しい床作りだ。最初の予定通りに、今回はチップは使用しない。水苔と園芸用の土だけで床を作る。今までのケースに比べ、一回り大きいケースなので、予定以上に園芸土を使ってしまったが、清潔感のある環境はかなり満足できる出来栄えだった。そして、隔離ケースで暴れまわっていたオケラ達を、一匹ずつハンドコートで新しい住家へと丁寧に運んだ。いままでは隔離ケースごと、新しいケースに一気に流し込んでいたが、やはりダニが流入する恐れがあったので、今回は面倒ながら逃げる個体を捕まえながら、移し替えを行う。オケラ達にとって土の感触は心地よいのか、暫く地面の上を走り回ってから、土の中に姿を消していく。緊密性の高い園芸用土で、容積も増えたので、越冬にはメリットが増えたのではないのだろうか。

上は隔離ケース。ダニとわかりすぐに廃棄

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