快適オケラ生活 第21話

快適オケラ生活 第21話

第一次越冬隊の試練

 浅はかな策だとは思ったのだが、確かにダニは発生しなかった。もちろん、ダニ自体は微小なので、全く発生していないわけではないが、今回の入れ替え前に比べれば、いないに等しい。その代わりというわけではないのだが、久しぶりに餌にカビが繁殖しているではないか。今までと異なる条件。そう、園芸用土だ。土はカビの発生を促すのか、それともチップはカビの発生を抑制するのか。夜中に気づいたので、慌てて餌の部分だけチップで固めたものの、今度はダニの繁殖の予感。深夜1時過ぎに八方塞な状況。堂々巡りな不毛の対応に、苛立ちが募るものの、とりあえず次回の休みまで様子見をすることにする。ただ、確かに土の量は多すぎるような気がする。オケラたちは楽しそうに土を掘り返し、自分たちの住まい造りをしているが、土は硬く、餌の補充がうまくできない。土を減らし、水苔を増やすことにする。

それでもオケラは頑張っている。
ダニを残さないようにハンドコ-トで生体を移す。

 2日後、観察すると、全ての餌が見事にカビで覆い尽くされていた。結局、何が問題なのかわからず、最終手段の園芸用土から水苔に変更することに。
 大きなケースから、元のケースに戻し、ホームセンターで購入してきた100%水苔で飼育を再開。ついでに冬眠らしく、水苔の上面に落ち葉を重ねて、彩ってみる。これも数日で崩壊するかもしれないが、それなりのセットが出来て、かなり満足。水カビが発生したら、こまめに餌を変更しながら、春を目指すことにする。生体にとってはストレスかもしれないが、これ以上環境の変更を繰り返すのは、大きな負荷になってしまう。繁殖を考えていたが、繁殖したのはダニとカビではシャレにもならない。また、祈る日々が始まる。

 期待虚しく、結局カビが。蜘蛛の巣のように。なんという勢いだ、なんて感心している場合ではない。もうこれ以上の策は見つからない。考えられるのは一つ。つまり、こういうことだ。ダニが繁殖すれば、カビが防げる。ダニを抑止すると、カビが繁殖。確かにカビを食べるダニがいるようだ。というか、ダニは貪欲でゴミでも腐敗物でも食するらしい。「コナヒョウヒダニ」の主食は人の垢やフケとのこと。ただ、アレルギーの原因になる。どっちを取るかというと、毎日交換できるカビだろう。実はほとんどのカビは無毒らしい。100グラム程度食べても人体には影響がないとか。また、昆虫は臭いで餌を判断するのだが、この手のカビの臭いはかぎ分けられないということ。ただ、ここまで繁殖すると餌としての役割は成していない。綿菓子のようで美味しそうってことはないが、餌本体はほとんど見えない状態。
 もう一つ策を。秘策と云えるほどではないが、以前、若干効果があったと記憶している、表面から深い位置への餌のセット。少々荒くなってしまうが、ピンセットで深い穴をあけて、エサを落とし込むことにした。カビの際に取り出しが難しくなってしまうが、その時はまた対策を考えればいい。ここまで来たら、何でも試してみることにする。もう、万策尽きたので、力技ともいえるこの二つの方法を繰り返すことにする。さて、成功するのだろうか。

色とりどりの枯れ葉を敷きつめる。
いかにも冬眠という体裁で。

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