昆虫界きっての道楽者 キリギリスを探して-11

昆虫界きっての道楽者 キリギリスを探して-11

ついにキリギリス。そしてペア2つ。

 残ったのは4匹。いつの間には1匹いなくなってしまったが、特に気にはしない。ヤブキリは10匹以上いたのに、最後は1匹になってしまったのだから、-1匹なんて立派なものだ。と人間の勝手な理屈。
 それを二つのケースに分けることにする。♂♀2匹の2ペアだったのだが、一つのケースに♂1匹と♀2匹、もう一つのケースには♂1匹。この分け方には理由がある。鳴くのは♂。そして、♀を呼ぶために鳴くのだ。ペアにしてしまうと鳴かないのではないのだろうか。ということで、1匹は孤独な環境で、♀を呼んでもらう。そう鳴いてもらうのだ。

2ペアは新しいケースで一緒に飼育。これが悲劇の始まりになろうとは。


 その効果か翌日には鳴き声が。それはキリギリスの“ギーチョン”ではなかった。“チッ”と単音で、まるで舌打ちのよう。何が不満なのだ。短すぎるが、それは鳴いているのではない。まだ練習なのだろうか、とにかく早く鳴き声が聞きたい。

 そして、7月を迎える。まだまだ梅雨は明けないものの、キリギリスの鳴き声が変わった。

ギ~~~ス♪

 やっぱり“ギーッチョン”でも“チョンギース”でもなかったが、ホームセンターで買ったキリギリスと同じ“ギ~~~ス”だ。野太い重低音はキリギリスに間違いない。遂にキリギリスに辿りついたのだ。ただ、鳴いたのは♀2匹と一緒にいるハーレム状態の♂だった。孤独な♂を鳴かせる戦術の成果はなかったが、ようやくキリギリスに辿りついた。
 ということで、共食いの危険はあったものの、4匹は新しいケースに移すことにした。まだ夏も迎えていないが、このまま鳴き声を楽しめればいいのだが。

指にしがみつく可愛い個体だったが。

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