昆虫界きっての道楽者 キリギリスを探して-12

昆虫界きっての道楽者 キリギリスを探して-12

あまりに残酷な結末

 癒しを期待していた虫たちだったが、ある夜、恐怖の光景を目にすることになる。
 共食いだ。
 やっぱり、と後悔しても、もう遅い。♂2匹を同じケースに同居させたのは失敗だったのか、などと反省しながら目を凝らすと、1匹の♂が抱え込んでむさぼり食っていたのは♀ではないか。さらに、同じケースの反対側で、もう1匹の♂が、もう1匹の♀を抱え込んでいる。そう、そちらでも共食いという惨劇が起きているのだ。2匹の♂が2匹の♀を食している。阿鼻叫喚、酒池肉林、地獄絵図、言葉に表せない衝撃がそこにある。鳥肌が立った。

この男には慈悲がないのか。


 キリギリスは共食いするが、♀は被害に遭わない。などと言ってい たのはどいつだ。♂が仲良く♀を食べている様子は、まさしく極悪非道。

こっちでも殺戮が。


 カマキリは交尾の後に♀が♂を食べるが、キリギリスは♀が♂を食べる、なんて聞いたことがない。だって、産卵はどうするんだよ。虫に慈悲はないのか。御仏の心はないのか。
 翌日、大きな♂は必死に鳴いていた。自分のした行為など忘れてしまい、嫁を呼んでいるのか、それともお腹がすいたのか。。。ああ、怖ろしい生き物だ。

まさしく地獄絵図。

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