肉を貪ることはない、体液を吸収
給餌はワラジムシ一匹を一つのトラップに落とすだけだが、鈍そうなワラジムシ、箸でつかむのは結構大変である。意外と動きが早いこともあるが、強くはさむと潰れてしまいそうなのだ。何度もトライし、ようやく捕まえたワラジムシをトラップに落とすと、アリジゴクはすぐに反応する。一目散に砂を掛けるのだ。何度も何度も。パッパとはじかれた砂の影響なのか、ワラジムシは待ち構える罠の底へと滑り落ちる。底に達すると、多少は暴れるもののすぐに動かなくなる。どうやら、アリジゴクは他の昆虫にもよくある麻酔毒を使用しているようだ。
体液を吸うだけなので、ワラジムシの姿はほとんど変らないが、取り出してみると湿った不快な体表ではなく、見事に乾いた標本と化している。やっぱり残酷な作業ではある。これを繰り返しながら飼育すると思うと憂鬱だ。ただ自然下の状況を考えると、それほど給餌の必要はないように思える。ということで、勝手に3日に1度の食事と決めた。目標は羽化である。この恐ろしいアリジゴクが、あの弱々しいウスバカゲロウになるか、この目で確認したい。