昆虫界きっての道楽者 キリギリスを探して-15

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キリギリスが流行

 中国でキリギリスをペットで飼うことが流行しているらしい。特に寒い季節に売れているとのこと。値段も100円程度から3万円を超えるものまである。
 元々、清朝時代に冬場にキリギリスを飼うことが流行した。貴族たちは、自慢のキリギリスを持ち寄り、その音色を楽しんだのだ。映画「ラストエンペラー」でも、冒頭とエンディングでキリギリスが登場したことを思い出す。こんな風流な遊びも、王朝が亡びると共に消えてしまった。
 すっかり、ワーカホリックになってしまった中国の若者の心を癒すという大切な役割をキリギリスは担っているのだ。
 ただ、個人的には癒しになるような音色ではないと思う。キリギリスの声はとても癒しになるとは思えない。どちらかというと煩いのだ。それなのに、貴族の間で流行ったとは本当のことなのだろうか。確かにニュースの写真や映画に登場したのはキリギリスだ。中国の人たちは、あの声を美しいと思っていたのだろうか。

映画では籠ではなく、木彫りの筒状の入れ物で飼っていた。確かにキリギリスは、他の虫のように飛んで逃げたりはしない。
決して懐いているわけではないが、手に乗った姿は結構可愛い。

第一話

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