昆虫界最強のトラップ職人-12

昆虫界最強のトラップ職人-12

進化するアリジゴク

 ウスバカゲロウだが、今回のようなすり鉢状のトラップを作る種類はそれほど多くないことは前回、お話した。しかし、もっと完成度の高いトラップを作る種類もいる。
 オーストラリアに棲むアリジゴクは、すり鉢状のトラップだけではなく、そこへ誘い込む溝まで作る。溝に進入したエサは、すり鉢状のトラップへと導かれる。この溝は一本ではなく、四方八方に延びているので、より多くのエサを誘い込めるのだ。ミゾホリウスバカゲロウという名前なのだ。ウスバカゲロウはまだまだ進化を続けているのだろう。もっと高度なトラップが世界にはあるのかもしれない。
 この高度な仕掛けを持ったトラップ作り。まず最初にすり鉢状の穴を完成させる。この穴の作り方は他の種類と同じ。そして、ゆっくりと他の溝を順次掘り始める。溝の作成時間は短いのだが、一つ作るごとに穴の整備を行うので、総合すると結構な時間を要する。いつか機会があれば、せっせと作業する様子を見てみたい。

こんな複雑な構造をせっせとつくるのだから涙ぐましい。

第一話

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