ヤマトタマムシ外伝 タマムシの住む町-3

ヤマトタマムシ外伝 タマムシの住む町-3

繁殖を目指した飼育施設

 玉虫の会の目的は「本会は玉虫の調査研究を通し、自然環境の保全および玉虫を増やすこと並びに会員の資質向上と親睦が図る目的として発会したものである」と明文化されている。ただ飼育するのではなく、繁殖して増やすことで、タマムシの翔び交う町づくりを目指している。そのためには飼育施設が必要になる。たった一人で始めた会も賛同者が増え、やがて6名ほどに、そして繁殖施設を作る頃には30名を超えた。

 最初の飼育施設は、中型のビニールハウスほどの大きさ。全くの手探りではじめたので、施設は直ぐに手狭となる(初期施設の建設は次のページに写真があるので、そちらをご覧ください)。反省を元に施工した新しい飼育施設は、広さ20畳、高さ2メートルのまるで果樹園。もう趣味などではなく、プロジェクトと呼べるほど(写真がないのが残念)。その施設の中に、エノキを植え、産卵用の丸木を多数セットして、累代飼育・養殖に挑む。そこまで自然に近い環境を用意すれば、繁殖も可能だが、やはり広大な施設の管理は尋常ではない。四六時中の監視が必要になってくるので、時間に縛られるサラリーマンには困難を極める。それでも、なんとか持ちこたえるのだが、高齢化の波が影響を及ぼし、毎日の清掃や環境維持に支障が出てくる。20年以上維持してきた施設を断念して、3年ほど前に取り壊しが決まる。わたしが町を訪れたときには、残念ながら飼育施設はなかった。

飼育施設 第一号館の建設

最初の飼育施設は中型のビニールハウスほどの大きさ。玉虫飼育場は民宿の裏を流れる川の土手に建てられた。すべてホームセンターで材料を揃え、手作りで建てた。見よう見まねだが、根気の要る仕事。タマムシの飼育だけではなく、繁殖・生態などの観察・研究も行われる。

手狭になった飼育施設は解体となり、今は痕跡もない。
「玉虫の会」のメンバー全員が刻まれた表札。民宿の玄関に飾られている。

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